花粉症の薬が保険から外れるとコストがあがるのか検証してみた。

2019年8月23日金曜日

OTC アレグラ セルフメディケーション 医療用医薬品 保険適用外

t f B! P L
twitterのトレンドに #保険適用外 があがってました。

花粉症治療薬や湿布薬などの市販でも同じような効能効果の薬が販売されている医薬品については、保険診療の対象から外すことを検討していると一部で報じられたようです。

花粉症薬、保険適用外に=医療費600億円削減-健保連提言(時事ドットコム)

企業の健康保険組合で構成する健康保険組合連合会(健保連)は22日、医療機関で処方される市販薬と同じ成分の花粉症治療薬について、医療保険の適用から除外し全額自己負担にすべきだとの提言を取りまとめた
ツイッター等では批判的な意見が多い印象です。その理由は市販薬を買うよりも処方してもらったほうが安くすむからだというものです。
確かに保険証をもっていれば、もらった薬の代金の3割しか自己負担を払わなくていいという制度(残りの7割は保険者から支払い)なので安く感じるのは当然でお怒りになる気持ちもわかります。

そこで本当に花粉症の薬が保険から外れるとコストがあがるのか検証してみようと思います。


医療用としても一般用医薬品としてもよく使われているアレグラ錠60mgで検証してみます。

アレグラFX


①薬そのものの値段

医療用医薬品のアレグラ錠60mgは1錠あたり57.40円と決まっています。
一方、同じブランドの一般用医薬品アレグラFXは28錠入りで1886円(税別)です。
同じ数に合わせて、両方とも28錠で計算すると、医療用が1607円になります。
さらにこれが保険で3割負担になるので482円となります。(※わかやすさのためにあえて単純計算しています。厳密な計算ルールでは10割で1540円となり、他の点数とあわせて計算をします)

482円 vs 1886円

その差、およそ4倍。これは安い!

②本体代金以外に薬局に支払う金額

医療用医薬品のほうでは保険調剤によって薬が用意されるので、薬剤師が調剤することによるコストがかかります。

  1. 調剤基本料 41点
  2. 調剤料   63点(14日分として)
  3. 薬歴管理料 53点
1点10円の計算なので、合計1570円(157点)。
実際の計算のルールでは、この点数と①薬剤料154点を合計して311点となり、3割負担で薬の代金も含めて930円となります。

一般用医薬品の方は、消費税が150円かかり、合計2036円となります。

③クリニックに支払う金額

処方箋を発行してもらうためには医師の診察が必要です。
  1. 初診料 282点 (再診の場合は72点)
  2. 処方箋料 68点
以上で初診3500円(350点)。3割負担で1050円。

医療用は1980円、一般用は2036円

諸々の費用を含めるとほとんどかわらないですね。実際のクリニックや薬局では、ほかにも施設基準などによって加算されることがあったり、再診料だと初診料よりも安かったりとなるので、実際には上下するとは思います。

結論

Amazonでも実際には定価よりも安くアレグラFXを売っている(現時点で税込1620円)ので金銭的な面だけでも花粉症治療を目的としてアレグラが保険から外れても利用者は損をしないようです。
時間的なコストを考えると、アレグラを手に入れる目的であれば、市販品を買ったほうが得です。自分ならそうします。

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